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統合失調症ってどんな病気?【24】~症状が落ち着いたあとに始める療法~

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「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?

病名は知っていても実際どんな病気なのか?

知らない方も多いのでないでしょうか。

統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。

しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?

知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。

「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。

第24回は、「治療は継続して行われる」の続き、「症状が落ち着いたあとに始める療法」についてみていきます。

目次

症状が落ち着いたあとに始める療法

精神科リハビリテーションとは

慢性期の治療は、再発を防ぐとともに、日常生活や社会生活を徐々に取り戻していくことが目標になります。

急性期の陽性症状は、薬物療法によって比較的短期間で改善しますが、慢性期の症状の主体となり陰性症状や認知機能障害は、薬を飲めばよくなるというものではありません。

陰性症状のため、

  • 意欲が湧かない
  • 疲れやすい
  • 集中力や注意力が続かない

また、認知機能障害のため、

  • これまで当たり前のようにできていたことが上手くできない
  • 病期になったことで自信や自尊心を失い生きる希望を見いだせない

などのこともあるでしょう。

こうした「生活のしづらさ」を解消して、イキイキとした心を取り戻すためには、薬物療法だけでは不十分です。

そこで、慢性期は薬物療法と並行して行う「リハビリテーション」が重要になってきます。

統合失調症のリハビリテーションは、

「精神科リハビリテーション」

あるいは、

「心理社会的療法」

とも呼ばれ(以下、リハビリ)、患者さんの心理面や社会面にアプローチし、社会生活への復帰を促していく療法になります。

具体的には、

  • 患者さんの精神面をサポートする「精神療法」
  • 思考や行動の歪みを正す「認知行動療法」
  • 日常生活や社会生活に適応するための技能を習得する「SST(社会生活技能訓練)」
  • 「作業療法」

などがあります。

精神療法は、比較的早い段階。、幻覚や幻聴などの激しい症状が落ちついてくる急性期後半から始められます。

そして、回復期に入ると、社会復帰を見据えた療法を少しずつ取り入れていきます。

患者さんの心を支える「精神療法」

「精神療法」とは、患者さんと地権者(医師、臨床心理士など)との心理的交流をベースに、患者さんの精神活動に変化をもたらす治療法をいいます。

精神療法には様々なやり方がありますが、統合失調症の治験でよく行われるのは、「支持的精神療法」です。

統合失調症の患者さんは、幻覚や妄想に追われて、非常に不安定な心理状態にありますが、その不安感や恐怖感は周囲の人に理解されにくいため、患者さんは孤立し、孤独感が高まっているものです。

支持的精神療法では、患者さんの気持ちに寄り添い、共感しながら話を聞き、患者さんと一緒にどうすればよいのかを考え、解決の糸口を探っていきます。

具体的には、治療者に対して、患者さんが日々の生活の中で抱えている不安や恐怖、葛藤、悩み、希望など話してもらいます。

この時、治療者は原則として、患者さんの話を遮ったり、考えや行動を批判したり、患者さんの人格や生育環境に深く立ち入りません。

必要があれば質問はしますが、あくまでも患者の気持ちを“支持する”ことに努めます。

患者さんは、

  • 自分の話を一切否定せずに聞いてくれること(傾聴)
  • 何を言っても受け入れてくれること(受容)
  • 不安や悩みを自分のことのように理解しようとしてくれること(共感)

で、安心感を得ます。

そこで、治療者は初めて、

「だったら、こうしてみてはどうかな?」

と、よりよい対処法などを助言します。

その結果、患者さんの不安が少しでも解消されたり、気持ちが前向きになったりして、心が安定してくれば、支持的精神療法の効果が現れてきたといえます。

この療法は、医師と患者さんとのコミュニケーションによって成り立つ療法なので、医師との相性や信頼関係が非常に重要になります。

思考や行動の歪みを正す「認知行動療法」

「認知行動療法」は、うつ病や不安障害などの知路湯によく用いられる精神療法ですが、近年は統合失調症にも有効であると注目されています。

物事のとらえ方や考え方のことを「認知」といい、私たちの気分や行動は認知のあり方に大きく影響されることが知られています。

同じ出来事に直面しても、認知のあり方によって気分や行動が変わってくる、ということです。

認知行動療法では、その人の思考パターン(認知)に焦点をあてて、バランスのよい思考や行動に修正していくことで症状の回復を目指します、

認知行動療法は、さまざまな症状が治療の対象となり、症例別のアプローチが開発されていますが、ここでは幻覚や妄想などの陽性症状に対して、どのように対処するのかみていきましょう。

幻覚や妄想のある患者さんは、幻覚や妄想を現実であると認知していますが、これは病気によって認知が歪められた結果、生じた非現実です。

まずは、そのことを理解するために、統合失調症という病気についてたさ正しく知ることが重要になります。

次に、認知が歪められそうになった時、それを修正する「術(すべ)」が必要です。

例えば、黒いコートを着た人とすれ違った時に、

「自分を監視している悪の組織の一員ではないか?」

という考えが浮かんだとします。

認知行動療法では、

「そうに違いない」

と認知してしまう前に、別の考え方ができないかを探る訓練をします。

「悪の組織だという証拠はあるのか?」
「黒いコートなどありふれている」
「自分とは無関係の人かもしれない」

など、さまざまな角度から認知の可能性を検討できるように訓練します。

こうした訓練を繰り返すことで、思考のバランスを養い、適切な行動に繋がるようにしていきます。

認知行動療法をうまく実践できるようになると、幻覚や妄想があっても、それほど気にせず過ごせるようになり、再発防止にも役立つとされています。


 

次回、「社会復帰のための療法」へ続く


 

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